先日、知人と本格焼酎に関する話をしていた際のことです。「全麹仕込みとどんぶり仕込みって概念は一緒なんだよね?」と質問されました。この二つは全く違う概念なのですが、知人によると「同じだって書いてあるサイトがあるよ」とのこと。そのあと、ネットで調べてみたのですが、確かにこの二つを同じことだと思っている方が多いようです。
簡単にいうと全麹仕込みというのは麹しか使わずに仕込むやり方で、どんぶり仕込みは麹と主原料を同時に発酵させるやり方です。
まず基本の仕込み方ですが、多くの本格焼酎が、二段階の仕込み方をしています。一次仕込みでまず麹のみを発酵させます。次に二次仕込みで発酵した麹の中に主原料を投入して発酵させます。このようにして確実に主原料が発酵できるようにしているのが現在の基本的な仕込み方になります。
まず全麹仕込みについて説明致します。全麹仕込みの場合には麹のみを発酵させますので、多くの場合は一次仕込みでそのまま蒸留へと進みます。例えば泡盛の場合、米麹を使用して仕込みますので一次仕込みでタンクや甕に水と米麹を投入します。2週間程度で発酵が完了しますのでそのまま蒸留機に掛けて蒸留します。また、全麹仕込みでも二段階の仕込み方をする場合があります。全麹仕込みと謳っている場合には二次仕込みで投入する主原料も麹になります。ある球磨焼酎はまず一次仕込み用に米麹を作ります。それを甕に投入して発酵させている間に二次仕込み用にまた米麹を作ります。そして、二次仕込みの際にはその米麹を投入します。投入されている原料が全て米麹ですので、これも全麹仕込みと表記することが出来ます。一部のサイトや書籍で「全麹は一次仕込みしかしない」と書いているものもありますが、これは誤りです。
次にどんぶり仕込みですが、こちらは麹と主原料を同時に投入して発酵させる仕込み方になります。こちらの仕込み方では、まず麹を作ります。出来た麹と主原料、水を同時に甕やタンクへ投入します。このとき投入する主原料は麹ではありません。例えば米麹の米焼酎をどんぶり仕込みで作る場合には、米麹と麹になっていない米、水を同時に投入して発酵させることになります。同じように米麹の芋焼酎をどんぶり仕込みで作る場合には、米麹と麹になっていない芋、水を同時に投入して発酵させることになります。発酵が終わればそのまま蒸留することになります。このようにどんぶり仕込みには二段階で仕込むという概念がありません。全麹とは全く違う概念であることがご理解頂けたかと思います。
簡単ですが、仕込み方の豆知識でした。
全麹仕込みとどんぶり仕込み
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