焼酎のお湯割りを美味しく飲むためにはどうすればいい?

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本格焼酎のオーソドックスな楽しみ方としてお湯割りがあります。ただ、お湯で割るだけでなく、少しだけ手間をかけることでより焼酎のお湯割りを美味しく楽しむことが出来るのです。

お湯割りの水はどうすれば良い?

焼酎のお湯割りを楽しんでいる様子焼酎のお湯割りを考える前にお湯のもととなる水について考えてみたいと思います。
マスコミ報道の影響で焼酎のお湯割りなどに利用する水についてかなりのこだわりを見せる方がいらっしゃいます。たしかにミネラルウォーターなどを利用した方が、より美味しく飲めることは間違いありません。水道水ではカルキ(残留塩素)がありますから、塩素分で味が変質してしまうのは事実です。
しかし、家庭で毎日の晩酌用に高価なミネラルウォーターを購入することが出来るでしょうか。本格焼酎の本場である九州や沖縄で氷やお湯にミネラルウォーターを利用している家庭が多いとは思えません。私自身が家で呑むときは浄水器を通した水道水で呑んでいます。
お湯割りや水割り、氷を問わず、水については「ミネラルウォーターを使わなければならない」ではなく「ミネラルウォーターのほうが美味しくできますよ」程度の認識でいた方が、肩を張らずに本格焼酎を楽しめると思います。

お湯の温め方は?

一番手軽なのは電気ポットで温めて60度保温機能付きなら60度で保温しておくという手法でしょう。最近ですと瞬間的にお湯を沸かしてくれる電気ケトルが一般的になってきました。すぐに飲みたいときは電気ケトルでお湯を沸かし、水でぬるくしてお湯割り焼酎をつくるというのも良いと思います。また、電子レンジもお湯の温度をセンサーが検知して、最適な温度にしてくれる機能が付いたものが一般的になっていますので、温度を60度くらいにして温めるのも良いと思います。

お湯の温度はどれくらい?

焼酎のお湯割りに使うお湯の温度は何度がよいのでしょう。人によっても違いますが、私は60度くらいが好きです。ある方は75度位を薦めていました。ただ、いろいろな方に共通するのは「沸騰したお湯は絶対に使わない」と言うことです。沸騰したお湯で割ったお湯割り焼酎はなぜか味がとげとげしくなり、香りや味わいが飛んでしまうのです。この現象を「焼酎がやけどする」と表現された方もいらっしゃいますが、まさにそうした状況といえるでしょう。焼酎のお湯割りで用いるお湯は赤ちゃんの授乳用ミルクをつくると同じような感覚で用意されると良いと思います。ポットに授乳用の保温機能がついている場合にはその設定を用いるのが効率的で最大限の効果を得られると思います。もちろん、沸騰したお湯を水でぬるくして、適度な温度を実現するというのも良いと思います。

焼酎とお湯の割り方はどうすれば良い?

ウイスキーを割るときはまずウイスキーを入れて濃度を見ながらお湯を足していき、最後はマドラーで混ぜるのが一般的です。しかし、焼酎をお湯割りにするときはまずお湯を注ぎ、そのあとで焼酎を注いでください。そのあとはマドラーで混ぜることはせず、そのままほんの少しだけ、おおよそ10秒くらい置いておきます。温かいお湯は容器上部へ上がろうとして上にある焼酎と自然に攪拌されます。
単に順番が違うだけだと思われるかもしれませんが、意外なことにこれだけでお湯割り焼酎の味わいが全く違ってしまうのです。いろいろな説がありますが、この謎は未だに解き明かされていません。だまされたと思って一度試してみてください。非常に驚かれることは間違いありません。

お湯と焼酎の割合は?

お湯割りは一般的に焼酎6に対してお湯を4、「ロクヨン」が最も美味しいとされています。この割り方ですと一般的な焼酎の度数である25度の焼酎であれば約15度になり、日本酒より少し度数が高いという程度になります。しかし、普段ビールやチューハイを飲み慣れている人にとってはそれでも度数が高いと思います。私はロクヨンよりもヨンロク、つまり焼酎4に対してお湯を6という割合の方が好きです。鹿児島の方でもサンナナ、焼酎3に対してお湯を7で飲んだ方がゆったり飲めて好きだという方もいらっしゃいました。焼酎によって割り方を変える方もいらっしゃいます。
是非とも自分なりの美味しく思える割り方を見つけ出してみてください。必ずしもロクヨンがよいとは限りませんよ。

なぜ焼酎をお湯で割るのか?

焼酎は暖かい地域のお酒なのになぜお湯で割るのか、という点を疑問にもたれる方も多いかもしれません。なぜお湯で割るようになったのかという点については諸説あり、定説と呼ばれるようなものはありませんが、よくいわれているのは、体の中も暖められて発汗作用があるから、体温に近い温度になることで体に優しいから、特にいも焼酎は暖めることで独特の香りが強くなってリラックスできる効果があるから、などです。お湯割り焼酎がうまい焼酎が本当の焼酎だ、などという方もいらっしゃいますが、伝統を考えるとあながち間違いともいえない説です。

どんな焼酎でもお湯割りにしてしまえば良いのか?

実はどんな焼酎でもお湯割りが美味しい、というわけではありません。まず、減圧蒸留された焼酎、これはどちらかというとロックや水割りで飲まれることを主眼にして開発されていますので、お湯で割っても独特の香りが立たず、単に暖かくなるだけです。次に度数の高い「原酒」と呼ばれる焼酎です。原酒は、もともと25度などで出している焼酎をストレートやロックで飲むことを前提に割り水することなく出荷している焼酎なので、お湯割りではむしろもったいない種類の焼酎といえます。

梅干と焼酎お湯割りの関係って?

お酒は嗜好品ですので自分が美味しいと思う飲み方で良いとは思いますが、本格焼酎に梅干は余りお薦めできません。梅干の香りと本格焼酎の香りがぶつかってしまって、せっかくの味わいも台無しになってしまうケースがあります。梅干しに合うのはどちらかといえば香りなどのない甲類焼酎です。お湯割りの梅干し入り焼酎を飲みたい時は甲類焼酎を選ぶと良いと思います。また、本格焼酎でどうしても梅干し入りのお湯割り焼酎を飲みたい場合は、味わいが淡泊な方が良いです。具体的にはいいちこや白岳しろなどがあいます。

お湯割り焼酎は何も入れてはいけないの?

梅干しの話をすると「お湯割り焼酎には何も入れない方が良いのか」と問われるケースがよくあります。もちろん、入れなくても美味しいのが本格焼酎最大の特徴ではありますが、何も入れてはいけない、というわけではありません。大分の知人から「黒霧島すだちを少し絞って入れると芋の風味も増すし、すだちの香りが良いアクセントになって美味しい」と聞きまして、試したことがありますが、これは実際に美味しい組み合わせでした。あと常圧の壱岐焼酎のお湯割りにゆずという組み合わせもとても美味しく感じました。また、いいちこのお湯割りを「ロクヨン」で作って、同じ大分県産のスダチを少し搾るという飲み方もけっこう好きで飲みます。こうしたちょっとしたアクセントになる素材を自分で探してみるというのも本格焼酎の香りが立つお湯割りの醍醐味かもしれません。

もっと本格的にお湯割り焼酎を飲みたい!

昔、鹿児島では黒ぢょかと言う酒器が利用されていました。これは事前に水と焼酎を5:5などお好きな濃さで割って3日くらい寝かせたものを炭火やいろりで温めるための道具で、最近ではあまり利用されなくなっていたようですが、この飲み方がお湯割り以上に焼酎を楽しめる最も美味しい飲み方であると断言される方もおいでになります。
とはいってもなかなか現代の家庭では炭火を使って温めるというのは難しいですよね。しかし、黒ぢょかは直火にかけてしまうと割れやすい材質で出来ているため、炭火かせいぜい石油ストーブの上で少しずらした位置に置いて温めるくらいになってしまいます。そのため、鹿児島ではお湯割りが一般的になっていきました。この数年、焼酎ブームということもあって、再び黒ぢょかが見直されており、たとえば「居酒屋物語 直火黒じょか」のような直火にかけられる黒ぢょかも登場しています。
そしてかつては25度の焼酎を買ってきて、自分の家で水と焼酎を割っておく必要がありましたが、消費者の低アルコール志向もあって、最近では国分酒造の「いも麹芋 前割り焼酎」や「蔓無源氏 前割焼酎」のように15度に割った商品や大海酒造の「Kugilla13 くじらわり 13度」、さつま無双の「前割り 焼酎 12度」、小正醸造の「小鶴くろ 天然地下水前割り 12.5度」、常徳屋酒造場の「麦焼酎 常徳屋 前割り16.5度」といった商品も登場しています。これらは全て蔵元の仕込み水で低度数にしてありますので、それぞれの銘柄に一番あった最適な水で、しかも蔵元が納得できるだけの日数寝かされた上で出荷されていますから購入すればすぐに燗付けをして楽しめるようになっています。これらの焼酎と先ほどの「居酒屋物語 直火黒じょか」を組み合わせることで一番通の飲み方が楽しめるというのは本当に良い時代になったものです。

一手間とわずかな時間をかけることで本当に美味しいお湯割り焼酎を味わうことが出来ます。「ロックがいちばん美味しいに決まっている」と決めつけずにぜひここで紹介した方法でお湯割りを試してみてください。

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