フレーバー焼酎(ふれーばーしょうちゅう)とは、2013年に発売された国分酒造の「安田」および2018年に発売された同じく国分酒造の「フラミンゴ オレンジ」がきっかけで着目されるようになった新しい焼酎のジャンルで、従来の本格焼酎ではあまり感じられなかった果物や花などをイメージした香りを重視した焼酎のことを指す。香り焼酎とも呼ばれる。
2013年に発売された国分酒造の「安田」は、国分酒造以外では実現できていない生芋を使用した芋麹製芋焼酎である「いも麹芋」の技術と絶滅寸前にあったさつまいもである蔓無源氏を使用した芋焼酎である「蔓無源氏」の技術を組み合わせ、麹も含めて全量蔓無源氏を使用した芋焼酎であったが、芋畑で長らく収穫されずにおかれたままになったことで熟成が進みすぎていた蔓無源氏芋も2012年の仕込みで用いたところ、ライチ香が高く感じられる焼酎ができあがった。
「安田」が登場した当時の芋焼酎業界は基本的に収穫したばかりのサツマイモを使用することが常識で、熟成させたサツマイモを使用すると「芋傷み臭」が生じると忌み嫌われている状態であったが、国分酒造では、この経験を元に当時のこうした業界の常識を無視する形で、サツマイモの適切な貯蔵による熟成を行うことで、香り成分の高い芋焼酎を安定的に製造することに成功。はじめから香り焼酎として検証・開発された「フラミンゴ オレンジ」は当時苦境に入りつつあった焼酎の系譜に革新をもたらし、模倣する蔵が続出、一気に「フレーバー焼酎」「香り焼酎」というジャンルが確立していくこととなった。
フレーバー焼酎が確立していくまでの様々な技術革新の流れについてはFolk Wisdom氏の国分酒造株式会社「焼酎イノベーションの系譜」に詳しい。