リンク: 2011年 焼酎メーカー売上高ランキング | 帝国データバンク[TDB].
今年も売上高ランキングが発表されましたが、本格焼酎業界にとっては厳しい結果が続いています。比較対象となっている2005年は焼酎ブーム末期で、売上高が盛り上がっている時期ですから酷な部分があるとはいえ、落ち込みが続いているのは事実です。
ところが、PDFの方を良く見ると事実上鹿児島の芋焼酎蔵が一人負け状態となっていることが判ります。対称的に宮崎県はほぼ前年と変わらない状況です。もちろん霧島酒造の増収増益があるわけですが、それを打ち消すような雲海酒造と神楽酒造の落ち込みがあり、それでもなおわずかな落ち込みに止まっています。そうした中で数字を精査していくと小鹿酒造と白玉酒造は5%以上売上高が伸びています。営業努力など様々な要因があるとは思いますが、必ずしも鹿児島の焼酎が敬遠されているというわけではないようです。
こういう時期だからこそ、極端な安価戦略に走るのではなく、例えば一部の蔵元がはじめている蔵割と称する12度焼酎の全国展開のように焼酎文化を大事にしつつも消費者の趣向に合わせていくことが重要なのではないかと思います。
12度焼酎は夏は冷やして飲めますし、冬は缶入りにしてホットコーナーに並べてもらえるような営業展開を行えば、前割り焼酎を温めて飲むという薩摩焼酎の伝統的な文化と低アルコール嗜好という二兎を追うこともできます。たしかに缶入り焼酎がコンビニのホットコーナーに並んでいる様は伝統文化からはかけ離れているように見えます。しかし、ものは考え方で、これも一つの進化なのではないでしょうか。
文化を大事にしつつ、消費者の趣向に応じてその姿を変える、というのはしっかりと文化を大事にする気持ちが本当にあるのならば、たやすく受け入れられるはずです。表面だけ伝統や文化を守っていても衰退していく一方です。このブログでは何度も書いていることですが、伝統と文化を基盤にしながらよりよい発展の道を探っていくことが重要なのだとの思いはますます強くなっています。